ウナギにゅるにゅるの日

ウナギ釣りの名手のご厚意で、正真正銘「千種川のうなぎ」7匹提供していただきました。
昆虫館に来た子どもたちに、是非、養殖でないウナギをつかませたいんです。お願いします。千種川漁協の役員の方に紹介いただいたおかげで、「7匹全部持ってけ!」ということになったのです。もちろん、ただです。感謝しかありません。

今は昔。
数年前の「ひまわり祭り」の日に、町からの依頼で、佐用町昆虫館として生きた昆虫や昆虫標本の展示をしていました。イベントとしておこなった「イモリすくい」の際に、近所でもらったウナギをイモリと同じ容器に放していました。同時にドジョウも放していたのですが、イモリすくいをしていたお子さんのお母さんでしょうか、ウナギを見て、「ドジョウが大きくなったらこんなになるんですね。」という意味のことを言われました。スタッフは思わず顔を見合わせましたが、決して笑い事ではないと感じました。このままではいけない。
大人も子供も、ウナギを食べたことはあっても、生きたウナギを、それも川でとれたウナギをつかんだことのある人は、そう多くないからです。
それなら、と今回のことに至ったわけです。

経過説明が長くなりましたが、この日は、「昆虫館」が「ウナギ館」「イモリ館」ではないかと勘違いされないかと思いながら、うなぎつかみ、イモリ・カメさわりを楽しんでもらいました。イモリやカメ、そしてウナギたちにとっては受難の日でした。


三密にならないように、ウナギを触れる場所を6箇所にして触ってもらいました。大勢に触られると弱ってしまうので、ときどき、「保健室」(氷の入ったクーラーボックス)で休憩してもらいました。

最後の方では、建物周りの水路に3匹放して、泳ぐ姿を観察してもらいました。
細くて小さいウナギ2匹とやや大きめのウナギ1匹。解き放たれたウナギたちは、水路内の石と石の間をすり抜けるようにして気持ちよさそうに泳いで行きました。やや大きめのうなぎは回収したのですが、細くて小さいうなぎ2匹は、いまだに「行方不明」です。水路には、小さな穴も空いています。水路の出口から川へ降りた様子はありません。また、水路から周辺の地面に這い出た様子もありません。来館中のご家族にも丹念に「捜索」していただきましたが、2匹は行方不明のままです。その内、「ひょっこり」と現れるかもしれません。その時は、「かくれんぼが上手だったね。」と褒めてやってください。

この日活躍してくれたウナギの内の2匹は、来館していた子どもたちの手で、一番深く大きな池に放たれました。池の中で大きく成長するか、水路から抜け出して、もといた千種川に「帰還」することになるでしょう。

前述した「ひまわり祭り」で活躍したウナギも、この池に放したのですが、およそI年後に見つかった時には、ずいぶん太く逞しく成長していたのを思い出します。今回の2匹のウナギたちは居付くのでしょうか。
もし、水路や池で見かけたら、「がんばったね。」と一声かけてやってください。池の中には、エサとなるエビたちがたくさんいますから、飢え死にすることはないと思います。深さ1mに石や木が沈めてありますので、イモリやウナギのすみかにふさわしいのかなとは思います。さて・・・。

ウナギ以外にも、さまざまな虫たちや花がが観察されました。
2人のスタッフから送付された画像を紹介します。



スミナガシ。成虫を見たのは何年かぶりです。幼虫は毎年出会っているのですが。

オオムラサキの幼虫。背中のトゲみたいなのが4対がオオムラサキで、3対なのがゴマダラチョウでしたか、どちらも榎(えのき)の葉を食べるのでしたね。

ヌスビトハギ。このブログが読まれる頃には、誰かの服にしっかりくっついてどこかに運ばれていることでしょう。

キツリフネソウ。昆虫館では、この色のものが普通ですが、珍しいということです。

網舎の側の親子。ニホントカゲの赤ちゃんは見つかりましたか。

シュウメイギク(秋明菊)。薄暗いところで花開くと、本当に辺りが明るくなるような気がします。

昆虫館周辺でも繁殖しているアサギマダラが、「鬼滅の刃」の『胡蝶しのぶ』のモデルとは知りませんでした。(配色は画像の標本ミイロタイマイだと思いますが)ちなみに、昆虫館に飛来したアサギマダラの内、一番遠くからの個体は、福島県グランデコスキー場からのものだそうです。

この女の子は、一心不乱に何かを見つけようとしていました。

長い一日が、あっという間に過ぎて行きました。

8月28日(土) 天気:晴れ
(一日館長) 野村智範、(スタッフ) 茂見節子、橋田一輝、(応援)
(来館者) 87人

(報告:野村智範)