【MM Quiz】よくいる緑色のコガネムシを、克服しよう!

夏になると、緑色のコガネムシをよく目にしますね。葉っぱの上にとまっていたり、夜、灯火に飛んできたり。

で、何コガネかな?、と思って調べてみても、なんだかよくわからない!

たまたま見つけたコガネムシを写真に撮って、ググってみても、わからない・・・

そうでしょう。ネット上の情報は、まったくアテになりません。「とりあえず、サクラコガネにしておこう」みたいなサイトが、散見されます。

身近にたくさんいるのに、種名がわからないって、もどかしくないですか・・・?

種類がわかれば、気分スッキリ!! やる気も倍増!!

そこでクイズ!

このポスターのPDFファイル(虫のサイズ的にA4判がちょうどいいです)

ポスターには、14種類のコガネムシが入っています。

よくいるコガネムシには、ほかにも、コフキコガネやクロコガネ、1cmくらいのマメコガネやセマダラコガネ、それにハナムグリやカナブンの仲間があります。
ここに入っているのは、スジコガネ亜科のコガネムシのうち、Mimela(コガネムシ属)とAnomala(スジコガネ属)の虫です。ヒラタアオコガネを除いて2cm前後、夜間、灯火に飛来します。

昆虫館には、標本を用いたクイズが、あります。
写真ではわからない、リアルな質感を、ぜひお確かめください。

2022年新設。昆虫館で見てください。

昆虫館の展示からこのページに来てくださった方は、ポスターで復習してみてください。

(昆虫館の展示標本とポスターで使った写真は、別個体です)

克服するには、見慣れるしかない

家族の顔が識別できない人はまずいませんよね。
クラスメートや職場の同僚も、1月もすれば、顔見知りになります。

毎日、見ていれば、自ずと、ちがいがわかってしまうのです!!
つまり、ちがいがわかるようになるためには、たくさんの個体を、毎日、見続けるしかありません。王道なし!

残念ながら、コガネムシの場合、写真のコレクションでは、難しいです。

近年はスマホカメラも高性能ですが、構造色でテカテカしているコガネムシは、ライティングが難しいです。カメラの性能ではカバーできません。

これはコガネムシに限った話じゃないですが、どんなアングルの写真が必要かを知らないと、種を区別できる写真が撮れません。
当たり前ですが、写真だと、ひっくり返して見ることができませんね。そのためには、まず現物を見て区別できるようにならないと、必要な写真も撮れないのです。

いちばんいいのは、標本を集積することです!

区別するポイント

区別点を習得するには「見慣れるしかない」のですけれど、どこに目をつければいいか、コツはあります。コガネムシの場合、まずは、つぎの3つです。

その1=体型

頭部・胸部(上から見える前胸)・鞘翅の形と大きさのバランス、横から見たとき、手に持ってみたときの扁平具合、です。

口で説明するのは難しいのですが、個体変異が少ない、安定した特徴です。

人も、慣れればシルエットでわかりますよね。そんな感じです。

ツヤスジコガネ、ヒメサクラコガネ、サクラコガネとツヤコガネ、アオドウガネとヤマトアオドウガネの区別など、体型が有力なポイントです。

その2=光沢と表面構造

金属光沢の強弱、ざらっとしてるかテカテカか。

スジコガネ、オオスジコガネは、名前のとおり、鞘翅のスジがはっきりしています。
さらに、光沢の強弱で、簡単に区別できます。

コガネムシ(タダコガネ)は、プラチナコガネに匹敵する、強烈な金属光沢です。
ハンノヒメコガネは、深みのある独特の光沢です。

その3=脚とお腹の淡色部

背面からの写真ではよくわかりませんけれど、種によって、傾向がはっきりしています。

サクラコガネは、淡色部が大きいです。ヒメコガネは、色の個体変異がとても大きいのですが、淡色部はありません。

これらの識別ポイントを組み合わせ、あとは、ひたすら「見慣れる」だけです。

クイズのこたえ

1:コガネムシ・・・メタリックな光沢が強く、色彩変異はほとんどありません。脚やお腹に淡色の部分はありません。
2:ヒメコガネ・・・鞘翅に比べ、前胸の光沢は鈍いことが多いです。色彩変異が激しいですが、脚やお腹に淡色部はありません。
3:オオスジコガネ・・・上翅にくっきりとスジがあり、スジコガネに比べ、光沢が強いです。
4:サクラコガネ・・・幅広く下膨れの体型で、平たい感じがします。脚やお腹に淡色部があり、ときに全体が淡色です。
5:スジコガネ・・・上翅に隆々たるスジがあり、光沢は鈍いです。
6:ヒメコガネ =2
7:アオドウガネ・・・ヤマトアオドウガネより、頭が大きく、体は平たい感じ。お尻(上翅から突き出したところ)が、毛深いです。腹面は赤銅色。
8:ヒラタアオコガネ・・・小さく、平たく、毛深いです。明るい草原にいて、初夏の日中に活動します。
9:ドウガネブイブイ・・・銅色または赤銅色です。
10:ヒメスジコガネ・・・光沢が強く、脚が頑丈な感じです。ツヤコガネに似ていますが、胸部は平たい感じがします。よく似た種にタケムラスジコガネがあります。昆虫館の展示で、ごらんください(体型はやや丸く、前脚のツメの形と腹面の毛で区別します)
11:スジコガネ =5
12:ハンノヒメコガネ・・・独特の、透明感のある、深みのある光沢です。前胸の点刻が粗いです。
13:ツヤコガネ・・・色あいはサクラコガネに似ていますが、頭が大きいです。多くの場合、前胸背板の中央に小さな溝があります。
14:ヒメコガネ =2
15:ヒメスジコガネ =10
16:ヒメサクラコガネ・・・小さくコロンとした体型。淡色部が大きく、パール光沢です。
17:オオスジコガネ =3
18:ヤマトアオドウガネ・・・体型はドウガネブイブイに似て、ラグビーボール型。お尻(上翅から突き出したところ)は、毛が少ないです。腹面は紫色。
19:スジコガネ =5
20:ツヤコガネ =13
21:サクラコガネ =4
22:サクラコガネ =4
23:ツヤスジコガネ・・・小型で、頭が大きく、脚が頑丈。前胸背板には左右に大きな「えくぼ」があります。体色は淡く、光沢が強いです。
24:ツヤコガネ =13
25:オオスジコガネ =3

よく似た種類がいろいろいて、どこから手をつけたらいいかわからいときは、まず確実にわかる種を習得し、少しずつわかる虫の輪を広げていくのがよい手順ですよ。がんばってください。

兵庫県のセミは13種ですから、種数は似たようなものですね。
練習すれば、きっとわかるようになりますよ!

わかるようになれば、いろんな場所でコガネムシの種構成を調べてみてください。種構成から、だいたいの環境や季節が推定できて、興味深いです。河川敷のナイターですね、これは8月の昆虫館ですね、みたいに。